家庭の音楽あそび

寝る前の音楽時間|おやすみのルーティンに歌を取り入れる

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

一日の終わりに、同じ順番で同じ歌を歌う。それだけで、寝る前の時間は親子の落ち着いた習慣になります。流れの作り方と歌の選び方を、家庭で試しやすい形でまとめました。

寝る前の音楽時間は、「毎晩同じ順番で、同じ歌を、小さな声で歌う」ことから始めるのがいちばんです。部屋を少し暗くして、決まった歌を歌い、最後に決まった言葉で「おやすみ」を言う。この流れが毎晩くり返されると、歌が一日の終わりの合図になり、子どもは安心して布団に入りやすくなります。この記事では、その流れの組み立て方、選ぶ歌の条件、年齢ごとの工夫、続けるコツを紹介します。

寝る前に歌を取り入れるとよい理由

昼間の遊びや園・学校での時間を終えた子どもは、気持ちの高ぶりが残ったまま夜を迎えることがあります。そこで、ゆっくりしたテンポの歌を同じ順番で歌うと、「これから眠る時間だよ」という合図が体に伝わりやすくなります。

歌は、言葉だけの声かけよりも、親の声のぬくもりが伝わります。「早く寝なさい」と言われるより、静かな歌声に包まれるほうが、子どもは受け入れやすいものです。

また、歌の時間は、その日にあったことを思い返す小さなすき間にもなります。歌のあとに「今日いちばん楽しかったこと」を一つだけ話してもらうと、会話のきっかけにもなります。

十五分でできる、おやすみの流れ

長い時間をかける必要はありません。次の四つの段階を、毎晩同じ順番で進めてみましょう。

  1. 部屋の明かりを落とす:照明を少し暗くして、テレビや動画は先に止めます。音の刺激が減ると、歌声がよく聞こえます。
  2. 呼吸をそろえる:大人が先に大きく息を吸って、ゆっくり吐きます。子どもにも「いっしょに、ふーっ」と声をかけます。歌の前に呼吸を整えると、声も自然におだやかになります。
  3. 決まった歌を歌う:一曲か二曲、ささやくような小さな声で歌います。子どもが一緒に口ずさんでもよく、聞いているだけでも十分です。
  4. 決まった言葉で終える:「今日もありがとう、おやすみ」のように、毎晩同じ言葉で締めくくります。歌の終わりと言葉の終わりがそろうと、一日の区切りがはっきりします。

流れを始める少し前の過ごし方も、歌の効果を左右します。夕食のあとは体を動かす遊びを短めに切り上げ、入浴や歯みがきを済ませたら、おもちゃを片付けて部屋を整えます。そのうえで「あと十分で歌の時間だよ」と予告しておくと、子どもは気持ちの準備ができ、布団までの移動もスムーズになります。予告には、タイマーの代わりに「この歌が終わったらね」と短い歌を一曲はさむ方法もあります。

歌い手は、毎晩同じ人でなくても構いません。お父さんの日、お母さんの日、祖父母が泊まりに来た日と、歌う人が変わっても、順番と歌が同じなら、子どもは「いつもの時間」だと感じ取ります。家族のだれが担当しても続けられる形にしておくと、負担が一人に偏りません。

寝る前に向いている歌の条件

歌は、有名な子守唄に限る必要はありません。次の条件を目安に、家族に合うものを選んでください。

条件理由選び方の例
テンポがゆっくり呼吸のペースに近いと、気持ちが落ち着きやすい一拍がゆったり感じられる曲を選ぶ
音の高さの幅がせまい声を張らずに歌えて、ささやき声でも続けられる少ない音で動くメロディの曲
歌詞がやさしい意味がすぐ分かると、安心感につながる子どもが日ごろから口ずさんでいる曲
短い毎晩続けやすく、途中で気持ちが切れないひと息で歌い切れる長さの曲

子どもが好きな曲があるときは、それを少し遅いテンポで歌うだけでも、おやすみの歌になります。ふだん元気に歌っている曲が、ゆっくり歌うと別の表情を見せる。そんな発見も、親子で歌う楽しみの一つです。

声の出し方|ささやき声で歌うコツ

寝る前の歌は、大きな声で歌う必要がありません。ささやくような声でも、息を安定させれば、はっきり届きます。

  • 息を先に出す:歌い出す前に、ふっと小さく息を吐いてから声を重ねると、やわらかい出だしになります。
  • 語尾をのばしすぎない:ゆっくり歌うと音をひきずりがちです。言葉の終わりを軽く手放すと、聞きやすくなります。
  • 体の力をぬく:肩と首がこわばると、声もかたくなります。座って歌うときは、背もたれにもたれて構いません。

声に自信がなくても心配はいりません。うまく歌うことより、子どものそばで落ち着いた声を聞かせることが目的です。歌う前に、まず自分の肩を一度すっと下ろして、ゆっくり息を吐く。この小さな準備だけで、声の出だしが驚くほどおだやかになります。

歌詞を少しだけ変えて、「今日のうた」にする楽しみ方もあります。たとえば、おなじみのメロディの一部に、その日の出来事の言葉を入れます。「公園でブランコ、のったよね」「お友だちと、おにごっこ」と歌うと、子どもは自分の一日が歌になったことを喜び、ゆっくり思い返しながら眠りに近づけます。言葉を考えるのが難しい日は、子どもに「今日いちばん楽しかったことは?」と聞いて、その答えをそのまま歌にのせれば大丈夫です。

年齢に合わせた工夫

幼児

布団の中で、背中や胸をゆっくりなでながら歌うと、歌のリズムと手の動きが重なって、落ち着きやすくなります。同じ歌を毎晩歌うと、途中で子どもが先に口ずさむ場面も出てきます。

小学校低学年

自分で選びたい気持ちが強くなる年ごろです。「今日はどの歌にする?」と、二、三曲の中から選んでもらうと、自分で決めた安心感が生まれます。歌のあとの「今日の一言」を日記のように短く話してもらうのもおすすめです。

小学校高学年

歌われることを少し恥ずかしがる子もいます。その場合は、歌う代わりに、ハミングだけにしたり、好きな曲を小さな音量で流しながら一緒に聞いたりと、距離感を子どもに合わせて変えていきましょう。「やめる」のではなく、形を変えて続けることがポイントです。

続けるためのコツと、うまくいかない夜の対応

毎晩きちんとできなくても、気にしなくて大丈夫です。続けるための小さな工夫を紹介します。

  • 短縮版を決めておく:疲れた日は、一曲だけ、またはハミングだけにします。流れの順番さえ守れば、合図としての力は保たれます。
  • きょうだいがいる場合:全員で同じ歌を歌うか、年下の子から順に一人ずつ歌うかを決めておくと、取り合いになりにくくなります。
  • 子どもが歌を嫌がる夜:無理に歌わず、「じゃあ、今日はお話だけにしようか」と形を変えて構いません。翌日また、いつもの流れに戻りましょう。
  • 録音を使う日:大人が不在の夜などは、あらかじめ録音しておいた歌声を流す方法もあります。声が聞こえるだけで、安心して布団に入れる子もいます。

歌を通して声や耳を育てたいときは

寝る前の歌は、子どもが毎日落ち着いた声や歌に触れる、家庭で続けやすい音楽の時間です。GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための、声・音楽・英語で話す力を育てるプログラムです。聞く・歌う・話す・表現すると、遊びの中で一歩ずつ進めていきます。家庭ではオンラインで全国から参加でき、講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。

気になることや、お子さんの年齢に合った始め方があれば、まずお話をうかがいます。ご相談はお問い合わせフォームまたはLINEから受け付けています。

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よくある質問

寝る前は、どのくらいの音量で歌えばよいですか?

ささやくような小さな声で十分です。息を先に出してから声を重ねると、小さくてもはっきり届きます。

子どもが歌の途中で話しかけてきたらどうしますか?

話を少し聞いてから、歌の続きに戻れば大丈夫です。流れの順番だけ守ると、合図としての力は変わりません。

歌があまり得意でなくても続けられますか?

もちろんです。上手さよりも、落ち着いた声をそばで聞かせることが大切です。ハミングだけでも立派なおやすみの歌になります。