歌詞の伝え方

歌詞の意味を子どもに伝える方法|むずかしいことばを絵と体でほどく

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

歌詞の意味は、辞書のように説明するより、情景を一緒に思い浮かべると子どもに届きます。そのための手順と話し方を紹介します。

子どもに歌詞の意味を伝えるときは、言葉の説明から入らず、「どんな場面かな」と情景を一緒に思い浮かべるところから始めると、スッと届きます。絵を描く、体で動く、身近な経験と結びつける。この三つを使うと、むずかしいことばも子どもの中に自然に入っていきます。

この記事では、歌詞を伝える四つの手順と、童謡の古いことば、比喩、切ない気持ちを描いた歌詞への話し方を、具体的なやり方でまとめます。

歌詞の意味を伝える四つの手順

どんな歌でも使える、基本の流れです。1曲に10分ほどかけて、数日に分けて進めても構いません。

  1. まず通して聞く・歌う:意味の話をする前に、歌を一度楽しみます。メロディの印象が、あとの理解を支えます。
  2. 場面を一言で言う:「朝の海の歌だね」「お別れの歌だね」と、大人が全体を一言で伝えます。
  3. 気になることばを選ぶ:子どもが首をかしげたことばや、大人が伝えたいことばを一つか二つだけ選びます。
  4. 絵や体でほどく:選んだことばを、絵に描く、動きで表す、身近なものに例えるなど、いろいろな方法で確かめます。

一度にすべてのことばを説明しようとせず、一つか二つに絞るのがコツです。たくさんの説明より、印象に残る一つの理解の方が、歌をずっと好きになる力になります。

夕焼けの歌を例にした進め方

たとえば、夕焼けの景色を歌った歌があるとします。一通り歌ったあと、「夕方の歌だね」と場面を一言で伝えます。次に、「夕焼けって何色だった?」と聞いて、赤・だいだい・ピンクなど、思い浮かぶ色のクレヨンを選んでもらいます。画用紙に空と太陽を描いたら、歌詞に出てくる「かえろう」のところで、絵の中の人物を動かして遊びます。最後にもう一度、絵を見ながら歌えば、場面と歌詞が自然にひとつになります。

年齢別の伝え方の目安

年齢の目安伝え方の中心一回に取り上げることば
2〜3歳実物・動き・まねっこ一つ
4〜5歳絵・身近な経験との結びつけ一つか二つ
6歳〜小学生気持ちや比喩について話し合う二つか三つ

年齢が上がるほど、会話の中で歌詞の気持ちを深められます。小学生には、「作った人は、どんなことを伝えたかったのかな」と、歌の背景に思いを巡らせる問いも楽しい時間になります。

方法別:ことばをほどく三つの道具

道具やり方の例向いていることば
絵歌詞の場面をクレヨンで描いてもらう景色・動物・季節のことば
体の動き「ふわり」「どんどん」を全身で表す動きや様子を表すことば
身近な経験「夕焼けって、昨日見たあの色だね」気持ち・時間・色のことば

絵に描いてもらうと、子どもが歌詞をどう受け取っているかが見えてきます。大人の想像と違う絵が出てきたら、それはその子の大切な受け取り方です。「そう見えたんだね、素敵だね」と受け止めたうえで、必要なら「こういう意味の場合もあるよ」と、そっと付け加えます。

童謡や唱歌にある、古いことばの伝え方

童謡や唱歌には、いまの日常ではあまり使わないことばが出てきます。子どもにとっては、知らない音のかたまりでも、歌の中で何度も出会ううちに、なじみのあることばになっていきます。

  • 無理に現代語に置き換えない:そのまま歌いながら、場面を絵や動きで見せます。
  • ものを見せる:実物や写真があれば、見せながら歌います。田んぼや夕焼けは、散歩の途中に探すのも楽しい時間です。
  • 音の響きを味わう:意味が分からなくても、ことばの響きの美しさを一緒に楽しみます。
  • あとから意味を知る楽しみを残す:大きくなってから、「あの歌のあのことばは、こういう意味だったんだ」と気づくのも、歌の楽しみのひとつです。

わからないことばも、歌が好きなうちに耳に入れておくと、後で意味に出会ったときに、子どもの中で糸がつながります。いま全部わかる必要はありません。

比喩やたとえが出てくる歌詞の話し方

歌詞には、「心が空みたいに広い」のように、ことばをたとえで使う場面がよく出てきます。小さな子には、たとえと実際の違いがわかりにくいこともあります。

  1. まず、実際の景色を見せる(空の写真や、窓の外の空)。
  2. 次に、「心」ってどんなところにあるかを一緒に考える(胸に手を当てる)。
  3. 最後に、「空みたいに広い心って、どんな気持ちかな」と問いかける。

答えは、「ひろびろ」「ふわふわ」「のびのびする」など、子どもなりのことばで返ってきます。それをそのまま歌に添えて、もう一度歌ってみましょう。たとえの世界を、自分のことばで味わう体験になります。

切なさやお別れを描いた歌詞への向き合い方

卒業ソングや友だちとの別れを描く歌など、切ない気持ちを歌った歌詞も、子どもたちはよく歌います。意味を聞かれたら、大人の解釈を押しつけず、子どもの気持ちに寄りそって話します。

  • 「ちょっとさみしい気持ちの歌だね」と、気持ちを言葉にする
  • 「でも、また会える日を思っているんだね」と、前向きな部分にも光を当てる
  • 自分の体験があれば、子どもが話してくれるのを待つ
  • 話さなくてもよい、という余白を残す

卒業や進級の季節は、歌を通して気持ちを整理する大切なタイミングです。「ありがとう」の気持ちが込められた歌詞を一緒に味わうと、季節の節目が温かい思い出になります。

声の表情と日々のおしゃべりで、意味を届ける

歌詞の意味は、説明だけでなく、声の表情からも伝わります。さみしい場面は少しやわらかく小さな声で、わくわくする場面は明るく弾む声で歌うと、子どもは声の色合いから気持ちを感じ取ります。

  • 同じフレーズを、元気な声とやさしい声で歌い分けて、どちらが好きか聞く
  • 歌詞の一行ごとに、表情を変えて歌ってみる
  • 歌う前に、「ここはどんな声で歌おうか」と相談する
  • 子どもが選んだ声の色を、そのまま採用して歌う

声の出し方を自分で選ぶ経験は、歌詞を自分のものとして受け止める力につながります。意味を伝えることと、表現して楽しむことが、ひとつの遊びの中で結びつきます。

家庭での歌詞のおしゃべりを続ける工夫

歌詞を話題にする時間は、特別に作らなくても、日々の中に入れ込めます。

場面話しかけの例
車や電車の移動中「この歌の、好きなことばはどこ?」
お風呂「今日の歌は、何色の気持ちかな」
寝る前「歌の主人公は、このあとどうしたかな」
季節の行事「この歌の景色、いまの季節に近いね」

質問は一回に一つまでにして、子どもが答えたくない日はそのままにします。答えを求めるより、歌の世界を一緒に歩く気持ちで、会話を楽しんでください。

歌を通して、声と表現を育てる場へ

GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための「声・音楽・英語で話す力」のプログラムです。声と歌、耳とリズム、英語で話す、表現と舞台という四つの柱があり、歌とことばを入口に、遊びの中で一歩ずつ進みます。講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。ご家庭ではオンラインで全国から受講でき、幼稚園・保育園・学校には導入の相談から対応します。

お子さんが歌を通して、気持ちを表現する力をのばしていくためのご相談をお待ちしています。GOLDEN AGE PROGRAMについて聞いてみる

よくある質問

子どもに歌詞の意味を聞かれて、うまく答えられません。

一言で場面を伝えたあと、「どんなふうに思う?」と一緒に考える形にすると、無理なく話が続きます。調べて、次の機会に伝えるのも素敵な時間になります。

意味がわからないまま歌っていても大丈夫ですか?

歌が好きなうちは、そのまま歌って大丈夫です。繰り返し聞くうちに、場面が見えてくることがよくあります。

何歳から歌詞の意味を話してよいですか?

子どもが歌詞に興味を示したときが、話し始めるタイミングです。小さな子には、絵や体を使って伝える方法がよく合います。