表現と舞台

声と体でつくる表現あそび|なりきり・お話・ミニ発表の進め方

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

声と体を使った表現あそびは、子どもが自分らしさを見つける入り口です。なりきりからミニ発表まで、一歩ずつ進める方法をまとめました。

子どもの表現する力は、「なりきる」「声にのせる」「見てもらう」という三つの段階を、遊びの中で一歩ずつ進めると、無理なく育っていきます。最初から上手に演じる必要はありません。動物になったつもりで動く、気持ちを声で表す、家族に見せて拍手をもらう。この小さな積み重ねが、人前で自分を表す楽しさの土台になります。

GOLDEN AGE PROGRAMでは、育てたいことのひとつに「表現と舞台」を掲げ、市民ミュージカル123MUSICALなどの場も大切にしています。2025年の伊豆山の市民ミュージカルには、伊豆山小学校の子どもたちも参加しました。この記事では、家庭や園で取り入れやすい表現あそびを、段階に分けてご紹介します。

表現あそびが大切にしていること

表現とは、うまく見せることではなく、自分の気持ちや思いを外に出すことです。笑う、驚く、悲しむ、喜ぶ。そうした気持ちを声と体で表せるようになると、言葉だけでは伝えきれない思いも伝わるようになります。

子どもの表現は、正解のない世界です。大人が「こうしてごらん」と形を決めてしまうより、子どもが思いついた動きや声を受け止めて、そこから広げるほうが、自分らしい表現が育ちます。「その動き、おもしろいね。どんな気持ち?」と聞いてあげるだけで、子どもの表現は深まります。

また、表現あそびは、歌や英語とも相性が抜群です。歌の場面を体で表したり、英語のことばを動きと一緒に声に出したりすると、意味が体に結びつき、楽しく覚えられます。声・音楽・英語・表現が、遊びの中でひとつにつながっていきます。

段階ごとの進め方の全体像

段階めざすこと遊びのイメージ
第一段階:なりきる自由に動き、気持ちを体で表す動物、乗り物、天気になりきる
第二段階:声にのせる気持ちや場面を、声や言葉で表す登場人物の声を出す、擬音語で場面をつくる
第三段階:お話をつくる場面をつなげ、ひとつの物語にする好きな絵本の続きを考える、短いお話を演じる
第四段階:見てもらう家族や仲間の前で表現するミニ発表会を開き、拍手を受け取る

子どもの様子を見ながら、どの段階から始めてもかまいません。人前が好きな子は第三段階から、恥ずかしがり屋の子は第一段階をたっぷり楽しむ、というふうに、その子に合ったペースで進めましょう。

第一段階:なりきり遊び

なりきり遊びは、表現の入り口です。何かになったつもりで動くだけで、子どもの体は自然に表情を持ち始めます。

  • 「動物園ごっこ」:大人がお題を出し、ライオン、ペンギン、ゾウなどになりきって歩く
  • 「天気のダンス」:雨、風、太陽、雷を体で表し、声も一緒に出す
  • 「乗り物ごっこ」:電車、飛行機、船などの動きや音を、体と声で表す
  • 「気持ちの変身」:うれしい、びっくり、ねむい、といった気持ちを顔と体で表す

お題を出す役を子どもに交代すると、遊びがぐっと広がります。大人が真剣になりきる姿を見せると、子どもは安心して思い切り表現できるようになります。照れずに全力で楽しむことが、いちばんの声かけです。

第二段階:声にのせる

体の動きに慣れてきたら、声を加えていきます。気持ちを声の高さや大きさ、速さで表す遊びです。

遊びやり方広げ方
同じ言葉・ちがう気持ち「おはよう」を、うれしい声、眠い声、びっくりした声で言い分けるほかの言葉でも試して、気持ちの種類を増やす
擬音語の場面づくり「ざあざあ」「ごろごろ」など、音のことばで雨の場面をつくる親子で役を分け、音の重なりを楽しむ
登場人物の声絵本のキャラクターの声を、子どもと大人で言い分ける声の高さと大きさで、性格を表す

声の表情が増えると、歌のときの表現も豊かになります。同じ歌でも、うれしい気持ちで歌うか、静かな気持ちで歌うかで、まったく違う歌になることを遊びの中で体験できます。子どもが「こんな声も出せるんだ」と気づく瞬間を、ぜひ一緒に喜んでください。

第三段階:お話をつくる

なりきりと声の表現を組み合わせて、短いお話をつくります。物語を演じることで、子どもは場面の流れを考え、自分の言葉で気持ちを表す経験をします。

  1. 好きな絵本や歌から、場面をひとつ選ぶ
  2. 登場人物を決めて、親子で役を分ける
  3. はじまり、できごと、おわりの三つの場面を考える
  4. それぞれの場面で、動きと声を決める
  5. 通して演じてみて、気に入った部分を残す

お話は、既存の絵本をそのまま演じても、続きを自分で考えても構いません。「その後、どうなったと思う?」と聞くと、子どもの発想がどんどん広がります。台詞を覚えさせるより、即興で言葉が出てくる楽しさを大切にしましょう。

歌とつなげるのも素敵です。お話の途中で、登場人物の気持ちを歌にしてみると、ミュージカルのような時間になります。市民ミュージカル123MUSICALのように、歌と表現とお話がひとつになる舞台は、子どもたちが自信を育てるきっかけになります。

第四段階:見てもらう小さな発表会

お話ができあがったら、家族や仲間の前で発表してみましょう。大きな舞台でなくても、リビングが小さなステージになります。

準備内容ポイント
ステージ床に印をつけて、立ち位置を決める広さは、動きやすければ十分
お客さん家族や友だちに、席についてもらう拍手をする合図を決めておく
はじまりの挨拶「これから〇〇のお話をはじめます」と言う子どもが自分の言葉で言えるように見守る
おわりの挨拶お辞儀をして、拍手を受け取る終わったあとは、感想を一言伝える

発表のあとは、上手だったかどうかではなく、「動きがおもしろかった」「声がよく聞こえた」と、具体的に感じたことを伝えましょう。拍手をもらった記憶は、子どもにとって次の表現への勇気になります。

表現あそびを続けるために

場面よくある様子声かけの例
動きが小さい周りを気にして、控えめに動く「いまの動き、本物みたいだったよ。もう一回見たいな」
声が出ない何を言えばいいか迷っている「まず音だけで表してみようか」
お話が止まる次の展開が思いつかない「次は誰が来るのかな」と一緒に考える
同じ展開ばかりになる安心できる型を繰り返している「今度は雨の日にしてみよう」とお題を足す

子どもが同じお話を何度も演じたがるのは、その型が心地よいからです。繰り返しの中で、少しずつ台詞や動きが変わっていくので、変化を楽しみながら見守りましょう。

表現あそびは、毎日少しずつ続けるのがコツです。長い時間をとらなくても、おやつの前の数分や、お風呂のあとのひとときなど、決まった時間に取り入れると、習慣になります。

子どもが嫌がるときは、無理に続けず、大人が先に楽しんでみせましょう。おもしろそうな雰囲気に誘われて、自分から輪に入ってくることがよくあります。

GOLDEN AGE PROGRAMでは、聞く・歌う、話す、表現すると、遊びの中で一歩ずつ進めていきます。講師は、VOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師で、声の指導はたーなー先生のメソッドが基になっています。ご家庭ではオンラインで全国から受講できます。プログラムの内容はGOLDEN AGE PROGRAMのサイトでご覧いただけます。ご相談はお問い合わせフォームから、LINEでもお気軽にどうぞ。

よくある質問

恥ずかしがり屋の子でも楽しめますか?

はい。まずは大人が楽しむ姿を見せ、なりきり遊びからゆっくり始めると、自分のペースで参加できます。

台詞を覚えさせる必要はありますか?

必要ありません。即興で言葉が出てくる楽しさを大切にして、子どもの発想を広げていきましょう。

何歳から始められますか?

幼児から小学生まで楽しめます。年齢に合わせて、動きや声を中心に進めてください。