表現あそび

うれしい声・おこった声・びっくりの声|気持ちを声にのせる遊び

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

「おはよう」も、うれしい声とねむい声では、まったく違って聞こえます。気持ちを声にのせる遊びで、子どもの表現力と聞く力を楽しく育てましょう。

同じ「ありがとう」でも、うれしい声で言うのと、いやいや言うのとでは、聞く人の受け取り方がまるで違います。気持ちは言葉だけでなく、声の高さ、強さ、速さにも表れるからです。この記事では、子どもが気持ちと声の関係を遊びの中で体験できるよう、家庭と園で使える遊びを紹介します。

声には「表情」がある

顔に表情があるように、声にも表情があります。うれしいときは声が高く、はずむように出やすく、悲しいときは低く、ゆっくりになりやすいものです。怒っているときは強く短く、びっくりしたときは急に高くなります。大人は無意識に聞き分けていますが、子どもは遊びを通して少しずつ気づいていきます。

声の表情に気づくと、毎日の会話がもっと楽しくなります。「いまの言い方、うれしそうだね」と気づけること、自分の気持ちを声にのせて伝えられることは、毎日の会話の土台になります。

GOLDEN AGE PROGRAMは、声と歌、耳とリズム、英語で話す力、表現と舞台を、遊びの中で一歩ずつ育てるプログラムです。気持ちを声にのせる遊びは、このうち「声」と「表現」をつなぐ、最初の一歩になります。

準備:気持ちのカードを作る

遊びを始める前に、「気持ちのカード」を作ります。紙を名刺ほどの大きさに切り、一枚に一つ、顔の絵と気持ちの名前を書きます。子どもに描いてもらうと、より親しみがわきます。

気持ち声の特徴遊びのヒント
うれしい高めで、はずむ声が弾むように、体も少し跳ねて言う
かなしい低めで、ゆっくり肩を落として、小さくゆっくり言う
おこっている強くて、短いお面のような怖い顔で、短く言う(本気で怒らない約束)
びっくり急に高くなる目を大きく開けて、息を吸ってから言う
ねむいふわっと小さいあくびをしながら、ぼんやり言う
わくわく早口で、明るい手をこすり合わせながら、期待を込めて言う

怒っている気持ちのカードを入れる場合は、「これはお芝居の声だよ」と先に伝えます。本当の怒りと区別して、遊びとして声を出す安心感を作っておくためです。

声で気持ちを表す三つの遊び

遊び一:同じ言葉、ちがう気持ち

やり方は簡単です。「おはよう」「ありがとう」「いいよ」のような短い言葉を一つ決め、気持ちのカードを引いて、その気持ちの声で言います。大人が先にやって見せ、子どもが「何の気持ち?」と当てるところから始めるのがおすすめです。

当てっこが終わったら、役割を交代します。子どもがカードを引いて声を出し、大人が当てる番です。大人があえて少し外れた答えを言うと、子どもは「ちがうよ、もっとこうだよ」と、声を工夫し始めます。この「もっとこう」が、表現を磨く大切な時間です。

遊び二:声のジェットコースター

一つの言葉の中で、気持ちを途中で変える遊びです。たとえば「あれ…? あっ! やったー!」のように、最初は不思議そうに、次に気づいて、最後に喜びが爆発するという流れを、声だけで表します。

小さな子には、最初の二つを「あれ?」と「やったー!」だけに絞ると取り組みやすくなります。小学生なら、三つの気持ちを自分で組み合わせて、短い物語を作るのも楽しいでしょう。声が高くなったり低くなったり、速くなったり遅くなったりする様子を、手でジェットコースターのレールを描きながら表すと、見た目にも分かりやすくなります。

遊び三:声だけクイズ

ここまでの二つの遊びで気持ちの声に慣れたら、いよいよ顔を隠して挑戦します。

後ろ向きになって、顔を見せずに声だけで気持ちを伝え、相手が当てるクイズです。顔が見えないぶん、声の高さや強さに意識が集まります。子どもが声だけで伝わった喜びを味わえるので、気持ちを声にのせる自信がつきます。

当たらなかったときは、「どうしたら伝わるかな?」と一緒に考えましょう。声を高くする、ゆっくりにする、間を空けるなど、工夫を試していくうちに、声の使い方の引き出しが増えていきます。

三つの遊びは、どれも一回に五分から十分で十分です。一日一つずつ、楽しい気分のときに取り入れてください。気持ちの名前を子どもが自分から口にするようになったら、それは声の表情に気づき始めたサインです。「いまの声、わくわくしてたね」と、大人が名前をつけて返してあげると、気持ちの言葉も一緒に増えていきます。

年齢別の進め方とつまずきの直し方

年齢によって、楽しめる気持ちの数や遊び方が変わります。無理のない範囲から始めましょう。

  • 2〜3歳:「うれしい」と「ねむい」の二つだけ。大人の真似をして、声と体で表します。
  • 4〜5歳:四つの気持ちまで増やし、カードを引いて当てっこをします。
  • 小学生:六つ以上の気持ちを使い、自分で場面を考えて声に出します。友だちや家族の前での発表も楽しめます。
場面直し方
どの気持ちも同じ声になってしまう声より先に、顔と体で気持ちを表してから言う。体の動きが声を連れてくる
恥ずかしがって声が出ない大人が大げさに楽しんで見せる。ぬいぐるみに言わせると出やすい
ふざけて収まらなくなるふざけた声も一つの表現として受け止め、「次はまじめバージョン」で切り替える
気持ちの名前が分からない絵本の登場人物の顔を見て、気持ちの名前を一緒に探す

声の表情の正解は、人の数だけあります。うれしい声も、高い人もいれば、低くてしみじみした人もいます。子どもが自分なりの「うれしい声」を見つけたら、それを大切に受け止めてあげてください。

音読や発表につなげるコツ

気持ちを声にのせる遊びに慣れると、絵本の読み聞かせや音読にも自然とつながります。絵本のせりふを、登場人物の気持ちに合わせた声で読んでみるのです。「このときのうさぎさんは、どんな気持ちかな?」と問いかけると、子どもは場面を想像して声の表情をつけ始めます。

園の発表や学校での発表でも、声に気持ちをのせる経験は役に立ちます。ただし、本番で「もっと感情をこめて」と指示しすぎないようにします。遊びの中で楽しく練習した経験が、本番で自然に出てくるのを待ちましょう。うまくできなかった日も、「今日はどの気持ちが楽しかった?」と聞くと、前向きな気持ちで終われます。

家庭では、絵本の読み聞かせを交代制にするのも一案です。ページごとに、大人と子どもが交互に登場人物のせりふを担当します。子どもが読む番のときは、気持ちのカードを一枚引いて、その気持ちで読むというルールを加えると、いつもの絵本が新しい遊びに変わります。

声や歌のことを相談してみませんか

GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための「声・音楽・英語で話す力」のプログラムです。声の指導はたーなー先生のメソッドが基になっていて、講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。家庭にはオンラインで全国から、幼稚園・保育園・学校には導入の相談から対応しています。表現あそびの取り入れ方など、聞いてみたいことがあれば、希望をうかがうところから始められます。

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