家庭の音楽あそび

手洗い・歯みがき・片付けを歌でスムーズに|生活習慣のうたの作り方

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

毎日のくり返しの場面は、短いうたを一つ決めるだけで、声かけが「いっしょに歌おう」に変わります。メロディの選び方から続け方まで、家庭で今日から試せる形にまとめました。

手洗い、歯みがき、片付けのように毎日くり返す場面は、短いうたを一つ決めておくのがいちばん効果的な近道です。「早くしなさい」と声をかける代わりに、決まったメロディを口ずさむだけで、子どもの気持ちが「やらされる時間」から「いっしょに歌う時間」へ切り替わります。この記事では、よく知っているメロディに言葉をのせる作り方、場面ごとの使い分け、年齢に合わせた工夫、続けるコツを順に紹介します。

なぜ、うたにすると動きやすくなるのか

子どもにとって、大人の指示は「いま遊んでいることを止める合図」に聞こえやすいものです。一方、うたには始まりと終わりがあり、リズムに合わせて体が動きます。「この曲が終わったらおしまい」と見通しが立つので、気持ちの切り替えがしやすくなります。

もう一つの良さは、手順がことばとして残ることです。手洗いなら「手のひら、手の甲、指のあいだ」というように、順番を歌詞に入れておけば、大人が横で説明しなくても、子ども自身がうたをたよりに最後まで進められます。

GOLDEN AGE PROGRAMでも、聞く・歌う・話す・表現すると、遊びの中で一歩ずつ進むことを大切にしています。生活の場面にうたを取り入れることは、その入口として家庭でいちばん始めやすい形です。

大人にとっての利点もあります。同じ注意を何度もくり返すと、声に苛立ちがにじみやすくなります。うたなら、口調はやわらかいまま、同じ内容を何度でも伝えられます。親子ともに気持ちよく一日を進められるのは、うたを使う大きな魅力です。

うたを作る前に決める三つのこと

いきなり歌詞を考え始めるより、先に次の三つを決めておくと、短時間で形になります。

  • 場面を一つだけ選ぶ:最初から全部の習慣にうたをつけると大人も疲れてしまいます。いちばん声かけが多くなる場面、たとえば夕方の片付けか、寝る前の歯みがきのどちらか一つから始めましょう。
  • 長さを決める:目安はひと息で歌い切れる短さです。手洗いなら両手をこすり合わせる時間にちょうど収まる長さ、歯みがきなら奥歯から前歯へ動かす一往復分の長さにします。
  • 子どもの好きな曲を選ぶ:新しいメロディを覚えさせるより、すでに口ずさめる曲を借りたほうが続きます。子どもが機嫌のよいときによく歌っている曲を観察してみてください。

替え歌の作り方|言葉をのせる四つの手順

歌詞を考えるのが苦手でも、次の手順なら迷わず作れます。ここでは歯みがきを例にします。

  1. 動きを書き出す:「前歯をしゅっしゅ」「奥歯をごしごし」「うら側をくるくる」「うがいでぷくぷく」と、体の動きを短い言葉で並べます。
  2. 音のまねことばを入れる:「しゅっしゅ」「ごしごし」「くるくる」のような音の言葉は、子どもが口に出しやすく、リズムにも乗りやすい材料です。
  3. メロディに当てはめる:借りる曲の音数に合わせて、言葉を切ったりのばしたりします。音数が合わないときは、言葉を足すより削るほうが歌いやすくなります。
  4. 最後の一行を決める:「ぴかぴか、おしまい」のように、終わりを知らせる決まり文句を置きます。ここが合図になって、次の行動へ移りやすくなります。

歌詞は完成度を求めなくて大丈夫です。子どもが「そこ、ちがうよ」と直してくれたら、それは立派な共同制作です。言葉を一緒に変えていくと、うたが「自分たちのもの」になり、毎日歌いたくなります。

場面別|うたの組み立て例

代表的な三つの場面について、歌詞に入れる内容と歌い方のポイントを表にまとめました。

場面歌詞に入れる内容歌い方のポイント
手洗い手のひら、手の甲、指のあいだ、手首の順番ゆっくりしたテンポで、洗う動きと言葉を合わせる
歯みがき前歯、奥歯、うら側、うがいの順番と、最後の決まり文句音のまねことばを多めにして、口を動かしながら鼻歌でも続けられる形に
片付け「おもちゃさん、おうちに帰ろう」など、物を主役にした呼びかけ明るく少し速めのテンポにして、歌い終わりを目標にする

片付けのうたには、一つ工夫があります。「ぜんぶ片付けよう」と歌うより、「ブロックさん、はこへ」「えほんさん、たなへ」と一つずつ呼びかけるほうが、子どもは次に何をすればよいかが分かります。終わりが見えるので、途中で投げ出しにくくなります。

年齢に合わせた工夫

2〜3歳ごろ

言葉の数が増えている時期なので、うたは二行か三行のごく短いもので十分です。大人が先に歌い、子どもは最後のひと言だけ「おしまい!」と声をそろえるような形から始めましょう。動きと言葉を一緒にくり返すのがこの時期の楽しみ方です。

4〜5歳ごろ

順番を覚えて楽しめる子が増えるので、手順を歌詞に入れる作り方が合います。「次はなんだっけ?」と問いかけて、子どもに続きを歌ってもらうと、自分で手順を思い出す練習にもなります。

小学生

自分で歌詞を考えるのが楽しくなる年ごろです。「朝の支度のうた」「宿題前のうた」を子ども自身に作ってもらい、家族の前で披露する時間を設けると、生活の中で自然に表現する機会が生まれます。歌詞を書き留めておくと、あとで見返す楽しみにもなります。

続けるためのコツと、うまくいかないときの直し方

うたは、始めた日よりも、続けた先で生活を助けてくれます。次の点を意識すると長続きします。

  • 大人も一緒に歌う:子どもだけに歌わせず、大人が先に口ずさんでください。上手に歌う必要はまったくありません。声が小さくても、楽しそうに歌う姿がいちばんの手本になります。
  • 同じ場面で、毎回同じうたを:うたと場面が結びつくと、イントロを聞いただけで体が動き出します。途中で曲を変えるときは、子どもと相談して決めましょう。
  • 急いでいる朝は短縮版を用意する:時間のない日のために、一行だけの短いバージョンを決めておくと、うたをやめずに済みます。

子どもが歌いたがらない日は、無理に歌わせなくて大丈夫です。大人が小さな声で歌いながら動くだけでも、その場の空気がやわらぎます。数日たってまた興味を示したら、そこから再開しましょう。うたに飽きたサインが見えたら、メロディを変える、歌詞に子どもの好きな動物や乗り物を入れるなど、小さな変化を加えるのも立て直しの方法です。

声と音楽をもっと楽しみたいときは

生活のうたを毎日歌っていると、子どもが声の出し方やリズムに関心を持つきっかけになります。GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための、声・音楽・英語で話す力を育てるプログラムです。無理のない声の出し方と歌う楽しさ、音の高さやリズムを遊びの中で聞き分ける力などを大切にしています。家庭ではオンラインで全国から参加でき、講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。

「うちの子の年齢だと、どんな遊びが合うかな」と思われたときは、まず話してみてください。年齢や気になることをうかがって、始め方を一緒に考えます。ご相談はお問い合わせフォームまたはLINEから受け付けています。

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よくある質問

歌詞が思いつかないときはどうすればよいですか?

体の動きを短い言葉で書き出し、音のまねことばを足すだけで形になります。完成度よりも、子どもと一緒に言葉を変えていく過程を楽しんでください。

子どもが同じうたに飽きてしまったら?

メロディを変える、歌詞に子どもの好きなものを入れるなど、小さな変化を加えると立て直せます。短い期間お休みしてから再開するのもよい方法です。

歌が苦手でも大丈夫ですか?

大丈夫です。上手さよりも、大人が楽しそうに口ずさむことが子どもの手本になります。鼻歌から始めても十分です。