歌のおぼえ方

子どもが歌詞を覚えるコツ|遊びながら言葉とメロディを身につける方法

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

歌詞は「丸ごと暗記」ではなく、小さく区切って、絵と動きとクイズで遊ぶと自然に口から出てきます。今日から使える覚え方を順番にまとめました。

子どもが歌詞を覚えるいちばんのコツは、一曲を丸ごと覚えさせようとせず、短い「ひとかたまり」に区切って、絵や動きをつけながら何度も遊ぶことです。覚えようと力むより、楽しく繰り返しているうちに、いつのまにか口から出てくる形がいちばん長続きします。この記事では、区切り方の手順、絵と動きのつけ方、穴埋めクイズなどの遊び、一日の中での聞かせ方、つまずいたときの直し方を紹介します。発表会や行事の前でも、ふだんの家庭でも使える内容です。

歌詞を覚えるのは「耳」から始まる

幼児から小学生の子どもは、文字を読むより、耳で聞いた音とリズムをそのまままねして覚える場面が多く見られます。まだ文字が読めない子はもちろん、読める子でも、歌は「聞いて、まねして、口に出す」順番で身につくと考えると、進め方が整理しやすくなります。

そのため、歌詞カードを渡して「覚えておいてね」と伝えるより、まず大人が楽しそうに歌って聞かせ、子どもが自然に口ずさむのを待つほうが、効果的な場面が多くあります。文字は、覚えたあとの確認や、小学生の子が自分で整理するための補助として使うと役に立ちます。

もうひとつ大切なのは、覚えることをゴールにしないことです。歌詞が全部言えることより、「この歌が好き」「また歌いたい」という気持ちが育つことを目指しましょう。好きな歌は、頼まれなくても自分から何度も歌うので、結果として覚えるのも早くなります。

一曲を小さく区切る手順

長い歌詞を一度に覚えるのは、大人でも大変です。まずは、歌を意味のまとまりで区切ります。多くの歌は、息をつぎたくなる場所で自然に区切れます。

  1. 通して聞く:最初は覚えさせず、曲を最後まで聞かせます。大人が一緒に体を揺らすだけでも十分です。
  2. 区切りを決める:歌詞を見ながら、息をつぐ場所や、言葉が変わる場所で「ひとかたまり」を作ります。一つのかたまりは、一息で歌えるくらいの長さにします。
  3. 最初のかたまりだけ遊ぶ:まず冒頭のひとかたまりだけを、大人のあとについて繰り返します。「やまびこごっこ」にすると、子どもは遊びとして受け取ってくれます。
  4. 次のかたまりを足す:最初のかたまりが口から出るようになったら、次のかたまりを一つ足します。足したら、最初からつなげて歌ってみます。
  5. サビを先に覚える:繰り返し出てくるサビは、覚えやすく、歌う楽しさも大きい部分です。順番どおりにこだわらず、サビから覚えてもかまいません。

一回の練習は短く、子どもがもう一回やりたいと感じるところで終えるのがコツです。「もっとやりたい」で終われば、次の日も自分から歌ってくれます。

絵と動きで歌詞を「見える」ものにする

言葉だけを覚えようとすると、子どもには音の並びにしか感じられません。歌詞に絵や動きが結びつくと、言葉の意味が頭に浮かび、次の言葉が出やすくなります。

歌詞の絵カードをつくる

歌詞の中で、絵にしやすい言葉を選んで、紙に子どもと一緒に描きます。たとえば、「ことり」「おひさま」「かえる」のような名前や、「ぴょん」「ごろごろ」のような様子を表す言葉です。描いた絵を、歌の順番に並べると、歌詞の地図ができあがります。

絵が上手かどうかは関係ありません。子どもが自分で描いたものだからこそ、見ると歌詞が思い出せます。描いた絵を壁やふすまに貼っておくと、通りかかるたびに口ずさみたくなる効果もあります。

言葉に動きをつける

一つの言葉に、一つの動きを決めます。「とぶ」は両手をぱたぱた、「ねむる」は手を合わせて頬に当てる、というように、子どもの思いつきを採用すると、より自分のものになります。歌いながら体を動かすと、リズムが体に入り、言葉の順番も覚えやすくなります。

方法向いている場面進め方のポイント
絵カード文字がまだ読めない幼児、物語のような歌詞歌詞の中の名詞を絵にして、歌の順番に並べる
動きをつける体を動かすのが好きな子、行事で動きつきで歌うとき子どもが考えた動きを採用し、毎回同じ動きで歌う
歌詞カードを読む文字が読める小学生、覚えたあとの確認覚えたあとの確認用に使い、見ないで歌う回を増やす
穴埋めクイズだいたい覚えたけれど抜けがある子歌詞の一部だけ声を出さずに、口を開けて待つ

遊びながら覚える四つのゲーム

覚える練習を「練習」と感じさせない工夫として、次の四つのゲームがあります。どれも道具はいりません。

やまびこごっこ

大人がひとかたまり歌い、子どもが同じように返します。次は役割を交代して、子どもが先に歌い、大人が返します。子どもが先に歌う側になると、自分が覚えている部分を自分で確認できます。

穴あきうた

歌の途中で、大人が一言だけ声を止めて、口だけ動かします。子どもがその言葉を言えたら成功です。最初は歌の終わりの言葉から始め、慣れてきたら途中の言葉も抜いてみます。抜く言葉を少しずつ増やすと、子どもは「どこまで言えるか」に挑戦する気持ちで取り組みます。

まちがい探し

大人がわざと歌詞を間違えて歌い、「どこが違った?」と聞きます。子どもは間違いを見つけるのが大好きなので、真剣に耳を澄まして聞きます。正しい歌詞を自分で言い直せたときに、大きくほめてあげましょう。

こっそりうた

ささやき声や、口パクだけで歌います。声を出さなくても頭の中で歌詞を追うことになるため、覚えているかどうかがはっきり分かります。そのあと、大きな声で歌うと、思い切り声を出す楽しさも味わえます。

一日の中に「聞く時間」と「歌う時間」を散らす

歌詞は、まとまった練習時間をとるより、短い時間を一日の中にいくつか置くほうが続けやすく、身につきやすくなります。机に向かう時間をつくらなくても、生活の流れに歌を乗せるだけで構いません。

  • 朝の支度のとき:着替えの間に、曲を小さく流します。歌わなくても、耳に入るだけで十分です。
  • 移動のとき:歩きながら、サビだけを一緒に口ずさみます。徒歩や車の中は、声を出しやすい場所です。
  • お風呂のとき:声が響く場所では、子どもも気持ちよく歌います。覚えているところまで歌ってもらい、続きを大人が歌います。
  • 寝る前:落ち着いた声で、その日覚えた部分を一緒に歌います。一日の終わりに楽しい歌で締めくくると、歌への良い印象が残ります。

園や教室の場合は、朝の会や帰りの会などの決まった時間に歌を組み込むと、子どもたちが自然に覚えていきます。毎日同じ時間に同じ歌を歌う習慣が、行事の本番で自信を持って歌う力になります。

つまずいたときの見直し方

練習してもなかなか覚えられないときは、子どもの能力ではなく、進め方を見直します。次の表を目安にしてください。

こんな様子見直すポイント試したいこと
途中で言葉が出なくなるひとかたまりが長すぎるかもしれない区切りを短くして、足す量を減らす
いつも同じところで間違えるその言葉の意味がつかめていない言葉を絵と動きにして、意味を一緒に確かめる
歌う前から嫌がる覚えさせられている感じが強いのかもしれない練習をやめて、大人が楽しそうに歌う時間に戻す
言葉は言えるが音が合わない言葉とメロディを同時に追っているまず言葉だけを、次にメロディだけを、最後に合わせる

覚えるペースは、子どもによって違います。すぐ覚える日もあれば、昨日できたことが今日は出てこない日もあります。そのようなときも、「昨日は言えたのにね」と責めるのではなく、「もう一回、一緒にやってみようか」と声をかけると、子どもは安心して挑戦を続けられます。

間違えた歌詞を、その場で細かく直し続けるのも控えめにしましょう。歌い切ったあとに、「ここ、もう一回遊んでみようか」と提案する形にすると、歌う気持ちが保たれます。

歌の楽しさをもっと広げたいときは

GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための、声・音楽・英語で話す力を育てるプログラムです。無理のない声の出し方と歌う楽しさを大切にして、聞く・歌う、話す、表現すると、遊びの中で一歩ずつ進みます。家庭ではオンラインで全国から参加でき、幼稚園・保育園・学校には導入の相談から始められます。講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。

歌が好きになる関わり方を、年齢や希望をうかがいながら一緒に考えます。お問い合わせフォームまたはLINEから、お気軽にご相談ください。

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よくある質問

歌詞を覚えるのに、文字が読めたほうがよいですか?

文字が読めなくても大丈夫です。幼児は耳で聞いてまねする形で覚えます。絵カードや動きをつけると、文字がなくても言葉の順番を思い出しやすくなります。

何度練習しても同じところで間違えます。どうしたらよいですか?

その部分の言葉が、子どもにとって分かりにくい可能性があります。絵や動きで意味を一緒に確かめると、すっと出てくることがあります。

発表会の前に急いで覚えさせたいときは、どうしたらよいですか?

サビから覚え、毎日短い時間を何回かに分けて歌うと、無理なく進められます。本番前は、楽しく歌える状態を保つことを大切にしましょう。