作詞あそび
子どもと替え歌をつくろう|ことば遊びから始めるオリジナルの歌
替え歌は、子どもが初めて経験する「作詞」です。知っているメロディに乗せて、言葉を一つ入れ替えるところから、親子で楽しく始められます。
子どもと替え歌を作るときは、「歌の中の言葉を一つだけ入れ替える」ところから始めるのがいちばん簡単です。メロディとリズムはそのまま使えるので、子どもは新しく考えることを言葉だけに絞れます。ここでは、替え歌を親子の遊びとして楽しむための手順を、年齢別の進め方と一緒にまとめました。
替え歌が子どもに向いている理由
歌を一から作るとなると、メロディ、リズム、言葉を全部決めなければならず、大人でも手が止まります。替え歌なら、そのうちの二つ(メロディとリズム)はすでに身についているものを借りられます。子どもが向き合うのは「ここにどんな言葉を入れたら楽しいか」という一点だけです。
もう一つの良さは、元の歌をよく聞くようになることです。言葉を入れ替えるには、元の歌がどんな音の数で、どこで区切れて、どこが盛り上がるのかを知っていなければなりません。遊びながら自然に、歌の形に耳が向いていきます。
GOLDEN AGE PROGRAMでは、声と歌、耳とリズム、英語で話す力、表現と舞台を、遊びの中で一歩ずつ育てることを大切にしています。替え歌は、このうち「耳とリズム」と「ことば」を同時に使える、家庭向きの入口です。
まず選ぶのは「音の数がそろう言葉」
替え歌でいちばん最初につまずくのは、入れ替えた言葉が歌にはまらないことです。そこで、言葉を選ぶときの基準を一つだけ決めましょう。「元の言葉と、手拍子の数が同じ言葉を選ぶ」というルールです。
たとえば「ぞうさん」の「ぞうさん」は、手を叩きながら言うと「ぞ・う・さ・ん」で四つです。四つの音でできた言葉なら、元の歌にぴたりとはまります。「き・り・ん・さん」「く・ま・さ・ん」「う・さ・ぎ・さ」のように、親子で手を叩きながら言葉を探してみてください。
| 手拍子の数 | 当てはまる言葉の例 | 探し方のヒント |
|---|---|---|
| 二つ | ねこ、いぬ、うし | 短い言葉から。動物や食べ物が見つけやすい |
| 三つ | りんご、みかん、バナナ | 家にある物を指さしながら探す |
| 四つ | ひまわり、おべんとう、おとうさん | 家族や好きな遊びの名前も使える |
| 五つ | ちょうちょさん、おでかけだよ | 文の形にすると、お話が広がる |
数える作業は、そのまま音の数を聞き取る練習になります。子どもが「りんごは三つ!」と気づいたら、その発見をたくさん褒めてあげてください。
元の歌を選ぶときは、繰り返しの多い歌が向いています。同じフレーズが何度も出てくる歌なら、一か所替えるだけで、歌全体が新しい歌に聞こえます。反対に、言葉の数が多くて展開の速い歌は、慣れてからの楽しみに取っておきましょう。わらべうた、手遊び歌、保育園や幼稚園で覚えてきた歌など、子どもが自信を持って歌える歌が、最初の一曲にぴったりです。
親子で作る替え歌の五つの手順
実際に作るときは、次の順番で進めると、途中で止まらずにすみます。
- 元の歌を決める。子どもがすでに口ずさめる歌を選びます。歌える歌ほど、替えたときに楽しさが伝わります。
- 替える場所を決める。最初は一か所だけです。歌い出しの言葉か、いちばん繰り返される言葉を選ぶと、替えた効果がはっきり出ます。
- 手を叩いて数える。元の言葉を手拍子で言い、音の数を確かめます。
- 言葉の候補を集める。大人は先に答えを出さず、子どもが思いつくまで待ちます。出た言葉は全部、笑顔で受け止めます。
- 歌って決める。候補を一つずつ歌ってみて、「いちばん楽しかった」ものを子どもが選びます。
この中でいちばん大切なのは四番目の「待つ」です。大人が言葉を出してしまうと、子どもは作る側から聞く側に戻ってしまいます。数秒の沈黙は、子どもが言葉を探している時間です。
年齢別の進め方
2〜3歳:一つの言葉を入れ替える
この時期は、大人が「ぞうさん」を「ワンワン」に替えて歌って見せるだけで十分です。子どもが笑ったら、「次は何にする?」と聞いてみます。答えられなくても、指さしや動きで伝えてくれることがあります。動物の鳴き声や、好きな乗り物の名前など、本人が大好きな言葉を材料にしましょう。
4〜5歳:一行まるごと替える
ことばの数え方に慣れてきたら、一行をまるごと替えてみます。「今日あった楽しいこと」を言葉にして、元の歌のリズムに乗せる遊びです。「きょうは こうえん いったよ」のように、日常の出来事がそのまま歌になります。一日の終わりに一行だけ作ると、親子の会話のきっかけにもなります。
小学生:テーマを決めて全部替える
小学生になると、一番の歌詞をまるごと替えて「テーマのある歌」を作れます。「学校の好きな場所」「給食の歌」「ペットの紹介」など、テーマは本人に決めてもらいます。書いた歌詞を紙に清書して、家族の前で発表する場まで用意すると、達成感が大きく育ちます。
うまくいかないときの直し方
替え歌づくりで起こりやすい場面と、その対応をまとめます。
| 場面 | 直し方 |
|---|---|
| 言葉が思いつかず、黙ってしまう | 大人が二つだけ候補を見せ、「どっちが好き?」と選んでもらう |
| 音の数が合わず、歌いにくい | もう一度手拍子で数え、「ここが一つ多いね」と一緒に確かめる |
| 同じ言葉ばかり使いたがる | それが今の本人の「いちばん好き」。一度は存分に歌い、次の回に別の場所を替える |
| 変な言葉ばかり出てきて、話が進まない | 笑いを一緒に楽しんでから、「次はおすましバージョンでやってみよう」と別の角度を出す |
| すぐに飽きてしまう | 一回の遊びは短く切り上げ、「続きはまた明日」で終える |
言葉が変でも、音がずれても、間違いにはなりません。子どもが「自分の言葉で歌えた」と感じられることが、この遊びのいちばんの収穫です。
作った替え歌を、ずっと残す工夫
できあがった替え歌は、そのままにしておくのはもったいないものです。スマートフォンで声を録音しておけば、あとで聞き返して、成長を感じられます。紙に歌詞を書いて冷蔵庫に貼る、家族の誕生日に歌ってプレゼントする、おじいちゃんおばあちゃんに電話で聞かせる、といった使い方もあります。
自分の作ったものを誰かが喜んで聞いてくれる経験は、子どもに「また作りたい」という気持ちを育てます。作って、歌って、聞いてもらう。この流れが、のちに表現や発表の場に立つときの土台になります。
きょうだいがいる家庭なら、一人が一行ずつ受け持って、つなげて一曲にする遊びもおすすめです。年齢が違っても、それぞれの言葉が一つの歌に並ぶと、家族だけの歌ができあがります。
声や歌のことを相談してみませんか
GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための「声・音楽・英語で話す力」のプログラムです。家庭にはオンラインで全国から、幼稚園・保育園・学校には導入の相談から対応しています。講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。子どもの歌や声について知りたいことがあれば、希望をうかがうところから始められます。