声・音読

子どもの音読を楽しくする声のコツ|家での聞き方と声かけ

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

音読の宿題は、聞き方を少し変えるだけで親子の楽しい時間になります。声の出し方と声かけのコツを、順番にまとめました。

音読を楽しくする近道は、「上手に読ませる」ことより先に「聞く人が楽しそうに聞く」ことです。声の大きさ、読む速さ、読み方の三つは、聞き手の反応で自然に変わっていきます。この記事では、小学生の音読の宿題で多い三つの悩み、小声・早口・棒読みについて、家庭でそのまま試せる聞き方、声かけ、短い練習の流れを紹介します。

音読の悩みは、ほとんどが三つに分かれる

音読が苦手に見える子は、実は「読めない」のではなく、読み方の癖が声に出ているだけのことが多いものです。まず、わが子がどのタイプかを見分けましょう。

タイプ聞こえ方よくある背景
小声タイプ最後まで聞き取りにくい間違えるのが気になる、聞かれるのが少し恥ずかしい
早口タイプ息つぎなしで一気に読む早く終わらせたい、読む量をこなすことに意識が向いている
棒読みタイプどこも同じ調子で平らに聞こえる文字を追うことに集中して、内容を想像する余裕がない

タイプが分かれば、かける言葉も変わります。三つが混ざっている子もいますが、最初に直したいのは一つだけにしぼると、子どもも負担を感じません。

聞く側の姿勢で、子どもの声は変わる

家庭での音読は、聞き手が「採点する人」になった瞬間に、子どもの声が小さくなりがちです。聞き手の役目は、間違いを見つけることではなく、お話の世界を一緒に楽しむことだと考えてみてください。

  • 聞くときは、家事の手を止めて、顔を見て座る。難しければ、背中を向けたまま「うん、うん」とあいづちを打つだけでも十分です。
  • 読み間違いはその場で止めず、最後まで読ませる。直したい読み方は、読み終わったあとに一つだけ伝えます。
  • 最初と最後に必ず一言、よかった点を伝える。「その場面、声が楽しそうだったね」のように、具体的に。

子どもは、聞いてもらえた経験を重ねることで、「もっと聞かせたい」と思うようになります。声を大きくしなさいと言うより、聞き手が楽しそうにしている方が、結果として声は届く方向へ育ちます。

タイプ別の声かけと、一分でできる練習

小声タイプ:聞こえる位置を変えてみる

「もっと大きく」ではなく、「お部屋の向こう側にいるお父さんに届けてみよう」と、相手を決めてあげます。声を大きくする目的が「聞いてほしい人がいるから」に変わると、無理に張り上げなくても声がまっすぐ飛びやすくなります。聞き手が少しずつ離れて座る遊びにすると、自然に声の届け方を試せます。

早口タイプ:句点で一息ついてみる

文章の「。」で、必ず一回息をすう約束にします。鉛筆で句点の横に小さな印を付けておくと、目で追いやすくなります。早く読む子は、「ゆっくり」と言われるより、「息をすう場所」を教わる方が実行しやすいものです。息を吸う間があると、聞き手にも内容が伝わります。

棒読みタイプ:登場人物になりきる

会話の部分だけ、その人物になって読んでみます。うれしい場面はにっこり、びっくりした場面は目を大きくして読むと、声の高さが自然に動きます。表情を使って読むと、声にも気持ちが乗りやすくなります。まずは会話文だけで十分です。

毎日続けやすい、短い音読の流れ

長く読むより、短くても毎日続くことが大切です。音読の宿題を中心に、次のような流れを作ってみましょう。

  1. 姿勢を整える。背すじをのばして、足の裏を床につけて座る。
  2. 深く息をすって、ふうっとゆっくり吐く。二回くり返す。
  3. 宿題の文章を一回通して読む。ここでは直さず、最後まで読み切る。
  4. 聞き手が、よかった点を一つ伝える。
  5. 気になる読み方を一つだけ決めて、もう一度読む。

これで五分ほどです。二回目は一回目より少し違う読み方を試せるので、子どもは「できた」を体験しやすくなります。やる気が出ない日は、一回目だけで終わりにして構いません。続けること自体が、音読を得意にする土台になります。

文章の種類で、読み方の工夫を変える

音読の宿題には、物語、詩、説明文など、いろいろな種類の文章が出ます。種類ごとに「ここを工夫すると楽しい」という場所が違うので、聞き手があらかじめ知っておくと、声かけがぐっと具体的になります。

文章の種類工夫する場所聞き手の声かけ例
物語会話の部分と地の文の読み分け「このセリフ、誰が言っていると思う?」
詩言葉のリズムと、行ごとの間「ここで一回、ふうっと間をあけてみよう」
説明文大事な言葉を少し強く、はっきり読む「一番伝えたい言葉はどれかな」
手紙・日記の文章相手に語りかけるやさしい声「この人に話しかけるつもりで読んでみよう」

読む前に、題名と挿絵を見て想像する

読み始める前に、題名や挿絵を見て「どんなお話だと思う?」と一言たずねます。これだけで、文字を追うだけだった読み方が、内容を想像しながらの読み方に変わります。棒読みになりやすい子には特に効果的な準備です。

読んだあとに、好きな一文を選ぶ

読み終えたら、「いちばん好きな一文」を選んで、もう一度だけ読んでもらいます。自分で選んだ一文は、気持ちを込めて読みやすく、聞き手にもその子らしさが伝わります。宿題の最後に好きな一文を読む習慣ができると、音読が「やらされるもの」から「聞かせたいもの」へと少しずつ変わっていきます。

聞き手が「読み聞かせ返し」をしてみる

ときどき、親が同じ文章を読んで、子どもに聞き手になってもらうのもおすすめです。わざと早口で読んだり、わざと小さな声で読んだりして、「どっちが聞きやすかった?」とたずねると、子どもは自分の読み方の違いを、自分の耳で比べられます。注意されるより、気づく方が、ずっと自然に読み方が変わります。

家族で遊びながら声の表情を増やす

宿題の音読のほかに、遊びの中で声の表情を増やしておくと、読み方が豊かになります。

  • 同じ一文を「うれしい声」「ねむい声」「おこった声」で言い分けるゲーム。聞き手は、どの気持ちか当てます。
  • 絵本の一ページを、動物の声や先生の声など、キャラクターを決めて読む。
  • 家族みんなで一文ずつ順番に読む「リレー音読」。次の人にバトンを渡す気持ちで、読む速さがそろっていきます。

声の高さ、強さ、速さを変える楽しさを知っている子は、授業での音読や発表でも、自分の声を工夫しやすくなります。GOLDEN AGE PROGRAMは、声と歌、耳とリズム、英語で話す、表現と舞台を、遊びの中で一歩ずつ進めるプログラムです。聞く、歌うから話す、表現するへ。そうした流れの中で、声を楽しむ力を育てています。

音読をきっかけに、声を育てる場へ

ご家庭の音読で、子どもの声の個性がだんだん見えてくるはずです。ひびく声、やさしい声、はっきりした声。その個性を伸ばしていく場として、GOLDEN AGE PROGRAMは幼児から小学生を対象に、声の出し方や歌う楽しさ、話す力を育てています。講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師で、声の指導はたーなー先生のメソッドが基になっています。ご家庭ではオンラインで全国から受講でき、回数や料金は年齢とご希望をうかがってからご案内します。

音読の悩みも含めて、お子さまの声について気になることがあれば、お気軽にお話しください。GOLDEN AGE PROGRAMについて聞いてみる

よくある質問

音読の宿題は、毎日どのくらい読めばよいですか。

学校の宿題の分量で十分です。短くても毎日続けることを大切にして、一回読んだら、よかった点を一つ伝えて終わりにする流れがおすすめです。

読み間違いはその場で直した方がよいですか。

読んでいる途中で止めると、子どもが緊張しやすくなります。最後まで読み終えてから、気になる点を一つだけ伝えると、前向きに受け取りやすくなります。

きょうだいがいる場合は、どう聞けばよいですか。

順番に聞き手になる「交代制」が楽しく続きます。聞く役も、あいづちを打ったり、よかった点を伝えたりする大切な役目です。