家庭の音楽習慣
歌のおもいで帳をつくる|子どもが歌った曲を記録して育てる習慣
歌った日付、好きな理由、一言の感想。小さな記録を一冊にまとめると、子どもの歌の歩みが目に見える宝物になります。
「歌のおもいで帳」は、子どもが歌った歌を、日付と一言の感想と一緒に記録していく一冊のノートです。上手に歌えたかどうかではなく、「どんな歌を、どんな気持ちで歌ったか」を残します。続けるうちに、お気に入りの歌の変化や、声や言葉の成長が見えるようになり、子ども自身が「また歌いたい」と思える習慣につながります。ここでは、作り方と、続けるための工夫を紹介します。
なぜ歌の記録が子どもの力になるのか
歌は、歌った瞬間に消えてしまいます。だからこそ、残す工夫をすると、子どもの中に「自分は歌ってきた」という実感が積み重なります。ページが増えていく様子は、目に見える形での成長です。
もう一つの楽しみは、歌を「選ぶ」時間ができることです。記録をつけるときに「この歌、なぜ好きなの?」と聞くと、子どもは自分の気持ちを言葉にします。「リズムが楽しいから」「動物が出てくるから」「お母さんと歌ったから」と、答えは様々です。選んだ理由を言葉にする経験は、聞いて、感じて、話すという流れを自然につくります。
GOLDEN AGE PROGRAMは、声と歌、耳とリズム、英語で話す力、表現と舞台を、遊びの中で一歩ずつ育てることを大切にしています。家庭でできる記録の習慣は、プログラムの考え方と相性のよい、手軽な取り組みです。
用意するものと、一ページの形
用意するのは、無地か方眼のノート一冊と、色えんぴつやシールだけです。立派な手帳でなく、気軽に使える普通のノートが続けやすさにつながります。表紙には、子ども自身に題名を書いてもらいましょう。
一ページに書く内容は、次の四つに絞ります。欲張って項目を増やすと、書くこと自体が負担になるからです。
| 項目 | 書く内容 | 子どもの関わり方 |
|---|---|---|
| 日付 | 歌った日 | 数字を書く練習として、子どもが書く |
| 歌の名前 | 歌った曲の題名 | 読めない字は大人が書く。絵で描いてもよい |
| すきなところ | 好きな言葉や場面を一言 | 子どもの言葉をそのまま書き取る |
| きもち | 顔のシールや絵で表す | うれしい、たのしい、ふしぎなど、自分で選ぶ |
大人が書くときは、子どもの言葉を直さず、そのまま書くのがポイントです。「ぞうさんのおはながながくておもしろい」という言葉は、その子のその日の感想として、そのままの形で残しておきたいものです。
続けるための五つの工夫
- 毎日でなくてよい。歌った日全部ではなく、特に印象に残った歌だけを記録します。週に二、三回でも、一年たてば立派な一冊になります。
- 書く時間を決める。寝る前の五分、日曜日の夜など、生活の中の決まった時間に結びつけると、習慣として定着します。
- 子どもが主役の時間にする。大人が書くときも、「どの歌にする?」と選ぶ権利は子どもにあります。
- ページを飾る。シールや絵、歌のイメージに合う色えんぴつを自由に使い、ノートそのものが楽しみになるようにします。
- 振り返りの時間を作る。月の終わりに最初のページから見返して、「こんな歌も歌ったね」と一緒に懐かしみます。
五つの中でも、特に効果が大きいのは、最後の振り返りです。過去のページを見返すと、子どもは「前はこの歌が好きだったんだ」と、自分の変化に気づきます。成長は、振り返らないと見えないものです。
書き方のイメージを、例で示します。ある日のページは、次のような形です。日付は「十一月十二日」、歌の名前は「ぞうさん」、すきなところは「おはながながい」、きもちは笑顔のシール。たったこれだけで、その日の歌が一ページの記録になります。書くのに一分もかかりません。短く書けることが、続けるいちばんの秘訣です。
| つまずき | 直し方 |
|---|---|
| 三日で書かなくなった | 書けなかった日は空白のままにして、次の日からまた再開する。空白も記録のうち |
| 子どもが感想を言えない | 「好きな言葉はどれ?」「歌って楽しかった?」と、答えやすい問いに変える |
| 大人だけが書いている | シールを選ぶ、色を塗る、題名を決めるなど、子どもの出番を一つ増やす |
| ノートが埋まらない | 一ページに一曲と決めず、一ページに三曲まで書いてよいことにする |
書きたくなる工夫:ページのバリエーション
同じ形式のページが続くと、子どもは飽きてしまうことがあります。ときどき、ページの形を変えて遊んでみましょう。
- お気に入りランキング:月に一度、好きな歌を三つ選んで順位をつけます。順位は毎月変わって構いません。
- 歌の絵ページ:歌詞に出てくる場面を、子どもが自由に絵にします。言葉が書けない年齢でも参加できます。
- 声の録音メモ:録音した日には、日付の横に小さな音符マークをつけます。あとで聞き返すとき、どのページか探しやすくなります。
- 家族の一言ページ:家族それぞれが、その歌への一言を書きます。同じ歌でも、感じ方が違うことに気づけます。
- 季節ページ:季節ごとに、その季節の歌をまとめます。一年が終わると、季節の歌のカレンダーになります。
年齢別のノートの使い方
| 年齢 | 書き方 | 大人の役割 |
|---|---|---|
| 2〜3歳 | シールを貼る、絵をなぐり描きする | 歌の名前と日付を大人が書き、言葉を聞き取る |
| 4〜5歳 | 絵を描き、ひらがなを少し書く | 子どもの言葉を書き取り、書きたい字は手を添える |
| 小学生 | 自分で書く、感想を文章にする | 書くことを見守り、読んで感想を伝える |
小学生になったら、ノートを子どもだけの宝物にしても構いません。見せたくないときは、無理に見せなくてよいのです。自分だけの記録という感覚が、続ける力になります。
ノートが一冊いっぱいになったら、最後のページに「このノートのベスト三」を子どもと一緒に選んで書きましょう。そして新しいノートの一ページ目に、「二さつめ」と書いて再スタートします。何冊も並んだ本棚は、子どもの歌の歴史そのものです。大きくなってから読み返すと、小さい頃の言葉や好みに、本人も家族も思わず笑顔になるはずです。
園や教室で使うときの考え方
園や学童、教室でも、この記録の考え方は活かせます。たとえば、クラスで歌った歌を、大きな紙に一曲ずつ貼っていく「クラスの歌の壁」を作る方法があります。歌った日付と、子どもたちが選んだ一言を貼り出すと、クラスでの歌の歩みが見えるようになります。
学期の終わりに壁を見返す時間をとれば、子どもたちは「こんなに歌ったんだ」と驚き、次の学期への意欲も高まります。保護者に壁の写真を見せれば、家庭でもその日の歌が話題になるでしょう。園や学校で、音楽の活動をどう記録に残すかについても、導入の相談の中で一緒に考えていくことができます。
声や歌のことを相談してみませんか
GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための「声・音楽・英語で話す力」のプログラムです。家庭にはオンラインで全国から、幼稚園・保育園・学校には導入の相談から対応しています。講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。家庭での歌の習慣づくりなど、聞いてみたいことがあれば、希望をうかがうところから始められます。