声あそび

声のものさしであそぶ|大きい声・ふつうの声・ないしょの声を使い分ける

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

声には大きさの段階があります。「ないしょ」から「やっほー」までの声のものさしを作って遊ぶと、子どもが自分の声を自在に選ぶ楽しさに出会えます。

子どもに声の大きさを伝えるときは、「静かに」「大きく」と言うより、段階のある「声のものさし」を一緒に作って遊ぶほうが伝わります。段階に名前がつくと、子どもは自分で「いまは三番の声にしよう」と選べるようになるからです。ここでは、ものさしの作り方と、遊びながら使い分けを身につける方法を紹介します。

声のものさしとは何か

声のものさしは、声の大きさを五つの段階に分けた目安です。数字と名前、絵をセットにして紙に描いておきます。目盛りが見えるだけで、子どもは「声には調節できる幅がある」ことを理解しやすくなります。

段階名前使う場面の例
一ないしょの声図書館、寝ている赤ちゃんのそば、耳元でのひそひそ話
二となりの声隣の人との会話、食卓での話
三みんなの声教室や園で、全員に向けて話すとき
四とおくの声外遊びで、少し離れた友だちを呼ぶとき
五やっほーの声運動会の応援、山びこごっこなど、思いきり出す場面

この表は家庭ごとに名前を変えて構いません。子どもと一緒に名前を決めると、自分たちのものさしという気持ちが生まれ、使うことが楽しみになります。

ものさしを親子で作る手順

作り方は簡単です。大きな紙に横線を引き、五つに区切って、段階ごとに声の大きさに合う絵を子どもに描いてもらいます。ないしょの声なら口に手を当てた顔、やっほーの声なら大きく口を開けた顔、というように、本人が思い浮かべる絵で構いません。

  1. 紙を五つに区切り、左から一、二、三、四、五と数字を書きます。
  2. それぞれの段階の名前を、親子で相談して決めます。
  3. 名前に合う絵を、子どもが自由に描きます。
  4. 描き終わったら、一段階ずつ声に出して試します。
  5. 目に入りやすい壁に貼り、いつでも指をさせるようにします。

絵が描けない年齢の子には、大人が簡単な絵を描き、子どもは色を塗るだけでもよいでしょう。大切なのは、完成品の美しさではなく、子どもが「自分のものさし」と感じられることです。

ものさしで遊ぶ三つのゲーム

ゲーム一:指さしあいさつ

大人がものさしの数字を指さし、子どもはその大きさの声で「おはよう」と言います。二を指せば隣に話す声、五を指せばやっほーの声です。指をゆっくり動かして、声が少しずつ大きくなったり、小さくなったりする様子を見せると、段階の間の声も出せるようになります。

ゲーム二:声のエレベーター

エレベーターのように、声を一階から五階まで上げ下げする遊びです。「あー」と声を出しながら、手を床から頭の上へ動かすと、声も一緒に大きくなります。降りるときは、手をゆっくり下げながら声を小さくします。急に大きくなったり小さくなったりしないよう、滑らかに動かすのがコツです。

ゲーム三:どの声でしょう

大人がいろいろな大きさで言葉を言い、子どもが「いまは三番!」と当てるゲームです。慣れてきたら親子で役割を交代します。子どもが出題する側になると、自分の声を意識的にコントロールする経験になります。

三つのゲームは、一回五分ほどで切り上げるのがちょうどよい長さです。子どもが「もっとやりたい」と思ううちに終えると、次の日も自分から誘ってくれます。声を出す遊びは、体を動かす遊びと組み合わせると、緊張がほぐれて声も出やすくなります。立って、手を広げて、体ごと声を出す感覚を楽しみましょう。

生活の中で使うときの声かけ

ものさしができたら、毎日の暮らしの中でも使ってみましょう。ただし、「いまの声は大きすぎるよ」と注意に使うのは避けます。注意の道具にすると、子どもはものさしを見るたびに叱られた気持ちになってしまいます。

おすすめは、場面に入る前に一緒に確かめる使い方です。図書館に入る前に「ここは何番の声かな?」と聞くと、子どもが自分で「一番!」と答えられます。自分で選んだ声は、守りやすいものです。うまく使えたときは、「ぴったりだったね」と短く伝えてあげてください。

場面おすすめの声入る前の声かけ
電車やバスの中一〜二「ここは何番の声が合うかな?」
家族の食事二「となりの声でお話ししよう」
公園で友だちを呼ぶ四「少し遠いから、とおくの声だね」
発表の場三「みんなに聞こえる声にしてみよう」

声が小さい子、大きすぎる子へのかかわり方

声が小さい子には、一や二を上手に使えていることを認めるところから始めます。小さな声は、「ないしょの声」として立派な特技です。そのうえで、遊びの中で三や四を試す機会を、無理のない形でつくります。山びこごっこのように、遊びとして大きな声が出る場面なら、子どもも構えずに声を出せます。

声が大きすぎる子には、五の声を出せること自体を褒めながら、「その声は外で使うと気持ちいいね」と、使う場所を一緒に見つけます。声の大きさそのものを否定せず、「この場所に合う声」を選ぶ力を育てる姿勢が大切です。どちらの場合も、子どもの声は一つの個性として受け止めましょう。

園・学童・教室で使うときのくふう

ものさしは、集団の場でも活躍します。クラスの壁に大きなものさしを貼り、先生が活動の前に「今日はこの声でいこう」と数字を示すだけで、子どもたちは共通の合図として受け取ります。何度も「静かにして」と呼びかけなくても、指一本で伝わる安心感があります。

一日の流れに合わせて、場面ごとの目安を決めておくのも効果的です。たとえば次のように、時間帯の活動と声の段階を組み合わせます。

  • 朝の会:三の声で、全員に聞こえるようにあいさつ。
  • お絵かきや工作:二の声で、隣の友だちと相談しながら。
  • 外遊び:四から五の声で、思いきり。
  • お休みの時間:一の声で、ひそひそ話だけ。

子どもたち自身に「いまは何番?」と問いかけると、指をさして答えてくれます。先生の指示を待つのではなく、子どもが自分で声を調節する場面が増えていきます。

また、一日の終わりにクラスで「今日、いちばん気持ちよかった声は何番だった?」と聞いてみるのもおすすめです。「五番でやっほーって言ったとき」「一番でひそひそ話をしたとき」など、子どもによって答えが違います。声の大きさそのものに優劣はなく、どれも場面に合った大切な声だと、みんなで共有する時間になります。

家庭でも同じ考え方が使えます。きょうだいがいる場合は、年上の子が年下の子に、ものさしを使って教えてあげる役になると、教える側の子の自信にもつながります。

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GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための「声・音楽・英語で話す力」のプログラムです。声の指導はたーなー先生のメソッドが基になっていて、講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。家庭にはオンラインで全国から、幼稚園・保育園・学校には導入の相談から対応しています。声の出し方や、園での取り入れ方について聞いてみたいことがあれば、まずは希望をうかがうところから始められます。

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