みんなで歌う
みんなで声をそろえる合唱あそび|園・学童・家庭で試せる聞き合う練習
声をそろえる近道は、「大きく歌う」ことより「隣の声を聞く」ことです。道具なしで始められる合唱あそびを、順番にまとめました。
みんなの声をそろえるには、「大きな声で歌いましょう」と伝えるより、「となりの人の声を聞きながら歌おう」と伝えるほうが、うまくいきます。声がそろわない原因は、多くの場合、子どもが自分の声だけに集中していて、周りの声が耳に入っていないことにあるからです。この記事では、聞き合うための遊び、息を合わせる遊び、強弱をそろえる遊び、人数や場所に合わせた進め方、本番前の整え方を紹介します。園や学童、家庭の集まりで、道具なしで試せるものばかりです。
声がそろわないのは、悪いことではない
子どもたちが集まって歌うと、声の大きさもテンポも、ばらばらになることがあります。これは、一人ひとりが元気に声を出している証拠でもあります。まず、そのエネルギーを受け止めたうえで、次の段階として「聞き合う」ことを遊びの中で体験していきましょう。
合唱のそろい方には、三つの段階があります。
- 聞こえる:自分の声のほかに、周りの声が耳に入る状態です。
- 合わせる:歌い出しと息つぎのタイミングが、そろう状態です。
- ひびく:声の強さややわらかさがそろい、一つの声のように聞こえる状態です。
この順番を飛ばして、いきなり「声をそろえて」と言うと、子どもは何をどう直せばよいのか分からず、緊張してしまいます。一つずつ、遊びを通して進めていきましょう。
第一段階|周りの声を聞く遊び
最初のゴールは、歌っている最中に、隣の子の声が聞こえるようになることです。次の遊びは、歌わなくても始められます。
こえのだれだクイズ
子どもたちが目を閉じて輪になります。大人が一人の子の肩をそっと触り、その子が「おはよう」と一言だけ言います。ほかの子は目を閉じたまま、誰の声かを当てます。友だちの声を耳で聞き分ける練習です。名前を呼ぶだけでも楽しめます。
小さな声のリレー
輪になって座り、短い言葉を、隣の子の耳元にささやいて伝えていきます。最後の子が、聞こえた言葉を発表します。ささやき声を聞き取るには、自然と静かに耳を澄ませる必要があります。うまく伝わらなくても、笑いが生まれるのがこの遊びのよいところです。
止まる歌
みんなで歌いながら、大人が合図をしたら、全員がぴたっと声を止めます。止まった瞬間の静けさの中で、周りの音を聞く時間をとります。「今、聞こえたものは何?」と尋ねてみましょう。止まる練習は、そろえる練習の入口になります。
第二段階|息と出だしを合わせる遊び
周りの声が聞こえるようになったら、次は一緒に歌い始め、一緒に息をつぐ練習です。出だしがそろうだけで、合唱はぐっとまとまって聞こえます。
- せーのの息:歌い出す前に、みんなで同じ「すっ」という息を吸います。大人が手をゆっくり上げ、手が頂点に来たら吸い終わり、手が下りると同時に歌い出します。
- 雲の手:大人が手で大きな雲の形をゆっくり描き、その動きに合わせて、一つの音を長くのばします。手が動く間は声を出し、止まったら声も止めます。
- 手拍子の心臓:全員で、同じ速さの手拍子を続けます。その上に歌をのせます。手拍子がそろっていれば、歌のテンポも自然にそろっていきます。
- 目で合図:大人の顔を見て、始めと終わりをそろえます。うなずきや目の合図で、声が出るタイミングを揃える練習になります。
この段階では、歌の上手さよりも、始まりと終わりがそろったことをみんなで喜びましょう。そろった瞬間に「今の、きれいに始まったね」と言葉にすると、子どもたちは何がよかったのかを理解します。
第三段階|強さと響きをそろえる遊び
最後に、声の強弱ややわらかさをそろえます。ここでは「大きい・小さい」を、体の動きに置き換えると伝わりやすくなります。
| 遊び | やり方 | ねらい |
|---|---|---|
| 風船ふくらまし | 手を口の前に置き、声に合わせて少しずつ大きく広げ、また小さく戻す | 声が少しずつ大きくなる、小さくなる感覚をつかむ |
| エレベーター | しゃがんだ姿勢から、声の大きさに合わせて少しずつ立ち上がる | 声の大きさを体で表し、みんなで同じ高さにそろえる |
| 三つのものさし | 「ありんこ・ねこ・ぞう」の三つの大きさを決め、合図で切り替えて歌う | 全員が同じ大きさで歌う経験をする |
| やわらかい声 | 「ふわふわのわたあめ」「あたたかいスープ」など、イメージを伝えて歌う | 声の質感をみんなでそろえる |
声の大きさは、人によって出しやすい大きさが違います。全員を同じ声量にそろえようとして、小さい声の子に無理をさせたり、大きい声の子を抑えつけたりしないよう気をつけましょう。「ありんこの声」「ねこの声」のように、遊びの言葉で切り替えられるようにすると、子どもたちは自分で調整する楽しさを味わえます。
場面と人数に合わせた進め方
園のクラスで
クラス全員で歌うときは、朝の会や帰りの会の最初に、「止まる歌」や「せーのの息」を一回だけ取り入れます。短い時間でも、毎日続けることで、聞き合う雰囲気がクラスに根づきます。行事の前だけ集中して練習するより、ふだんの遊びの中で育てるほうが、本番に力を発揮しやすくなります。
学童や放課後の集まりで
年齢がばらばらの子が集まる場では、高学年の子に「みんなの声を聞く役」をお願いしてみましょう。指揮者の代わりに、手で合図を出してもらうなど、役割があると、年上の子も意欲的に参加してくれます。年下の子は、年上の子の声を聞きながら歌うので、自然とそろいやすくなります。
家庭で、きょうだいや親子で
人数が少ない家庭でも、合唱あそびはできます。親子で「やまびこ」をしたり、きょうだいで「ありんこ・ねこ・ぞう」の三つの声を切り替えて歌ったりするだけでも、聞き合う練習になります。大人も一緒に歌い、「今の声、ぴったりだったね」と伝えましょう。
本番前の整え方
発表や行事で合唱をする前日と当日は、新しいことを増やさず、「楽しく歌える状態」を整えることを優先します。
- 前日:通して一回歌い、うまくいった部分を一つ見つけて言葉にします。直したい部分は、本番前に増やさず、遊びの中でそっと確かめる程度にとどめます。
- 当日の朝:「せーのの息」を一回だけ行います。気持ちが落ち着いて、みんなの呼吸がそろいます。
- 出番の直前:隣の子と目を合わせて、にっこりします。緊張している子も、友だちの笑顔を見ると、ほっとします。
- 歌い終わったあと:全員で拍手をして、「みんなで歌えたね」と言葉にします。そろっていたかどうかより、一緒に歌えた喜びを大切にしましょう。
うまくそろわなかったとしても、子どもたちが気持ちよく歌い切れたなら、それは立派な成功です。次の機会にまた遊びながら練習すればよいので、結果を気にしすぎないようにしましょう。
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よくある質問
声が大きい子と小さい子がいて、そろえるのが難しいです。
全員を同じ声量にする必要はありません。「ありんこ・ねこ・ぞう」のように声の大きさに名前をつけて、合図で一緒に切り替える遊びから始めると、無理なくそろっていきます。
何人くらいから合唱あそびはできますか?
二人からでも始められます。親子の「やまびこ」や、きょうだいでの声の切り替えも、聞き合う練習になります。
本番前にどのくらい練習すればよいですか?
長い練習よりも、楽しく歌える状態を保つことを大切にします。短い時間で通して歌い、うまくいった部分を言葉にして終えると、気持ちよく本番を迎えられます。