耳をそだてる

お散歩で音さがし|歩きながら耳をひらく親子あそびと記録の取り方

 文:GOLDEN AGE PROGRAM 編集部/監修:たーなー先生(田中直人)

いつもの散歩道には、たくさんの音がかくれています。立ち止まって耳をすませる遊びを入れると、散歩が音の宝さがしに変わります。

お散歩で「音さがし」をすると、いつもの道が、耳をひらく遊び場に変わります。方法は簡単で、歩いている途中に立ち止まり、目を閉じて、何が聞こえるかを数えるだけです。鳥の声、風の音、遠くの車、自分の足音。普段は通り過ぎてしまう音に気づくと、子どもの聞く力は少しずつ育っていきます。ここでは、散歩の途中で楽しめる遊びと、音を記録する方法を紹介します。

音さがしが耳を育てる理由

子どもは、見たもの聞いたものを驚くほどの速さで吸収する時期にいます。ゴールデンエイジといわれる時期です。この時期に、身のまわりの音にじっくり耳を傾ける時間を重ねると、音の高さやリズムに気づく楽しさを、遊びの中で味わえます。

音さがしは、特別な道具も場所も必要ありません。歩く、立ち止まる、聞く、話す、という流れだけです。聞いた音を言葉にして伝えることは、ことばの力にもつながります。GOLDEN AGE PROGRAMが大切にしている「耳とリズム」を、散歩の中でそのまま楽しめる遊びです。

遊びやること育つ力
立ち止まって十数える目を閉じて聞こえる音を数える集中して聞く力
音のクイズ何の音かを当てあう音と物を結びつける力
音の地図聞こえた場所を紙に描く聞いたことを表現する力
音のまねっこ聞こえた音を声で再現する声で表現する力

遊び一:立ち止まって十数える

散歩の途中、気持ちのよい場所で立ち止まります。「目をとじて、十まで数えるあいだに、いくつ音が聞こえるかな」と声をかけ、大人も一緒に静かに耳をすませます。十数えたら、「聞こえた音を教えて」と順番に話します。

はじめは「車の音」「鳥」くらいでも十分です。繰り返すうちに、「遠くで犬が鳴いている」「木の葉がこすれる音がする」と、細かい音まで気づけるようになります。大人が先に「わたしは、自転車のベルが聞こえたよ」と具体的に言うと、子どもも真似して詳しく話せるようになります。

目を閉じるのが怖い子には、目を開けたままで構いません。「耳だけに集中してみよう」と声をかけ、手を耳のうしろに当てて、大きな耳のポーズをします。体の動きがあると、聞く姿勢が作りやすくなります。道路沿いでは、安全のため、必ず歩道から離れた安心な場所で行います。

慣れてきたら、立ち止まる場所を増やしてみましょう。公園のベンチ、橋の上、木の下。場所が変わると、聞こえる音もがらりと変わります。「ここは何の音が多いかな」と比べながら歩くと、散歩そのものが小さな探検になります。

遊び二:音のクイズ

聞こえた音を、何の音か当てあう遊びです。大人が「いま聞こえた音、何の音だと思う?」と聞き、子どもが答えます。答えが分からないときは、「どっちから聞こえた?」「大きい音?小さい音?」と、ヒントを出しながら一緒に考えます。

  • どこから:右、左、前、上、遠く、近く。
  • どんな感じ:高い音、低い音、ずっと続く音、ぱっと消える音。
  • 何のようす:急いでいる音、のんびりした音、うれしそうな音。

音の特徴を言葉にする練習は、聞く力と話す力の両方に効きます。答えが合っているかどうかより、「そう聞こえたんだね」と受け止めることを大切にします。子どもの耳に聞こえたものが、その子にとっての正解です。

反対に、子どもが出題する番にしてもおもしろいです。子どもが聞こえた音を声で真似して、大人が当てます。「カーカー」とまねたら、大人が「カラスかな」と答える。出題側になると、音をよく観察する気持ちが強くなります。

遊び三:音の地図をつくる

散歩から帰ったら、聞こえた音を地図にして残します。紙の真ん中に自分の家や公園の絵を描き、その周りに、聞こえた音の絵を置いていきます。

  1. 紙の真ん中に、歩いた場所の簡単な絵を描く。
  2. 聞こえた音を、思い出しながら一つずつ言う。
  3. その音を出していたもの(鳥、車、風など)を絵にして、聞こえた方向に描く。
  4. 音の大きさに合わせて、絵の大きさを変える。
  5. 音のまねを声で添えて、「ピーチク」「ゴー」などの言葉を書き込む。

上手な絵を描く必要はありません。丸や線、点で音を表現してもよいでしょう。「この音は、ギザギザの線」「この音は、ふわふわの丸」と、子どもが自分なりの記号を作ると、音を形にする感覚が育ちます。

描いた地図は、家の壁やリビングに飾っておくと、家族との会話のきっかけになります。「この音は、どこで聞いたの?」と聞かれた子どもは、散歩の様子をうれしそうに話してくれます。

季節ごとに同じ道で地図を描いて並べると、聞こえる音の変化が見えてきます。夏の虫の声、秋の落ち葉の音、冬の静けさ。同じ場所でも季節で違う音に気づく体験は、子どもの感性を広げます。

遊び四:音のまねっこで声を楽しむ

聞こえた音を、自分の声で再現してみる遊びです。風の「ひゅー」、車の「ぶーん」、犬の「わんわん」。声で音を表すと、声の高さや長さ、強さを自然に使い分けることになります。

大人も一緒に声を出し、「さっきの風、もっと長かったかな」「もっと小さな音だったね」と、音を思い出しながら声を調整します。何度か試すうちに、自分の声を細かく動かす楽しさに気づきます。声あそびとしても、とても豊かな時間になります。

家に帰ってから、お気に入りの音を絵本のように並べて、「音のおはなし」を作る遊びに発展させることもできます。散歩で見つけた音が、そのまま物語の材料になります。

音の宝さがしは、家の中でも楽しめます。台所の冷蔵庫の音、時計の針の音、水道の水が流れる音。散歩で身につけた聞き方を、家でも試してみてください。家族で順番に「いま聞こえる音」を発表しあうと、いつもの部屋に新しい発見が生まれます。

音さがしを続けるコツ

散歩の音さがしを無理なく続けるためのコツをまとめます。

  • 毎回の散歩で必ずやるのではなく、「今日は音さがしの日」と決めて楽しむ。
  • 時間は五分ほどで十分。長く続けようとすると、子どもが飽きてしまう。
  • 聞こえた音の数を競わず、「おもしろい音」を見つけた子をほめる。
  • 安全のため、立ち止まる場所は車や自転車が通らない歩道の端や公園の中を選ぶ。
  • 聞こえた音をメモする係を決めて、大人が子どもの言葉をそのまま書く。

雨の日の散歩なら、傘に当たる雨の音、水たまりを歩く音など、晴れの日にはない音が見つかります。ぬれないよう気をつけながら、雨ならではの音探しを楽しんでください。

声や音楽のことを相談してみませんか

GOLDEN AGE PROGRAMは、幼児から小学生のための「声・音楽・英語で話す力」のプログラムです。内容には、音の高さやリズムを遊びの中で聞き分ける「耳とリズム」も含まれています。声の指導はたーなー先生のメソッドが基になっていて、講師はVOICE TRAINER ACADEMYで学んだ認定講師です。家庭にはオンラインで全国から、幼稚園・保育園・学校には導入の相談から対応しています。子どもの耳や声について聞いてみたいことがあれば、まずは希望をうかがうところから始められます。

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